情シスが抱える４つの課題と解決策とは

社内のITインフラを整え、情報技術を駆使し経営課題解決や競争力強化に取り組む情報システム部門は、事業に不可欠な存在です。しかしさまざまな理由から業務や評価にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本日は情報システム部門こと情シスが直面している課題と、解決のためのアイデアをご紹介します。

情シスの役割と業務内容 ITを駆使して事業を支える重要な役割 情シスとは情報システム部門の略称です。社内ITインフラの運用管理だけでなく、DX推進による競争力強化やリスクマネジメントによる機会損失防止などにも取り組みながら、 事業の持続発展を支える重要な役割 を担っています。

多岐に渡る業務内容 情シスの業務内容は会社の規模や方針によって異なりますが、主な業務をご紹介します。

❶社内ITインフラの運用管理

・外部ベンダーとのコミュニケーションや管理

・その他業務システムの導入・保守運用

・障害（インシデント）発生時の対応

・PCやサーバー、ルーターなど、各種IT機器の調達・定期メンテナンス

・OSやソフトウェアのパッチ管理・アップデート対応

・ライセンス管理と更新

・データの定期的なデータバックアップと保護

など、業務環境に欠かせないITインフラを整備してます。

❷ユーザーサポート・トラブルシューティング

日々社内から寄せられる問い合わせや不具合報告への対応も、情シス担当者が行っています。

プリンタの故障連絡からパスワードのリセット依頼まで多岐に渡る問い合わせに対応しながら、業務への影響を最小限に抑えています。

❸セキュリティ対策

サイバー攻撃などのセキュリティリスクを未然に防ぐことも、情シス部門の業務内容です。

・ウイルス対策（セキュリティソフトの導入、定期的なウイルススキャンなど）

・システムやネットワークの監視・アラート設定 ・セキュリティパッチの定期的な適用

・ネットワークセキュリティの強化（ファイアウォールの設定・更新など）

・アクセス管理（権限の定義と管理、アカウントの作成や更新、アクセスログの監視など）

・セキュリティポリシー（またはガイドライン）の策定・更新

・社内向けトレーニングの実施

❹IT戦略立案と実行

戦略的なIT利活用を立案・実行することも、情シス部門の業務の一つです。企業のDX（デジタルトランスフォーメーション）を内部から推し進め、競争力を高めることで事業の持続発展に貢献しています。

・IT投資計画の策定・評価

・DXの推進（ビッグデータの利活用、生成AIの利活用、業務フローの見直しなど）

・業務効率化に寄与するシステムの企画・導入（ERP、CRM、RPAツールなど）

・セキュリティリスクの洗い出し・評価・管理

情シスが直面している４つの課題 情報システム部門日々、多岐にわたる業務を担いながら日々事業活動を支えています。情シスの働きがあってこそ、企業は安定した運営ができるのです。

そのような情シスですが、いくつかの課題に直面しています。

課題❶人手不足による業務過多 一つ目の課題は 「人手不足による業務過多」 です。

人手不足の要因はいくつかあり、その一つが IT人材自体の不足 です。昨今DXへの関心の高まりからIT人材の需要が急増しています。一方で転職市場のIT人材は不足しており、2030年には国内のIT人材が最大約79万人不足すると予測されています。IT材確保の難易度はますます高まるでしょう。

また 情シスが人員削減の対象になりやすい 点も人手不足の一因です。情シスは企業に不可欠ですが、経営陣からコスト部門と見なされることがあります。大手企業が過去最高益を報じる中、中小企業を取り巻く環境は依然と厳しく、コスト部門の人員削減を余儀なくされています。

こうした状況下で、一人で情シス業務全般を担う ひとり情シス や、他部署と情シス業務を兼務するケースが増加しています。情シス部門は一人または少数で会社全体のITインフラ管理しなければならず、担当者の業務負荷が問題視されています。

さらに

・日々の問い合わせ対応やルーティン業務に追われて、 コア業務に取り組めない

・（特に兼務の場合）専門知識が不足しているため、迅速なトラブル対応が難しい

・既存システムの見直しや改善提案が後回しになっている

・新技術やトレンドに対応するためのスキルアップが難しい

・担当者が休めない・休みづらい

といった課題が、情シス担当者に大きな影響を与えています。

課題❷業務や知識の属人化 二つ目の課題は 「業務や知識の属人化」 です。

ひとり情シスをはじめ、特定の担当者に業務や知識が集中することで

・担当者不在の場合、業務が滞る

・トラブル対応が遅れる（一人で処理できるトラブル数に限界がある）

・異動や退職時の引継ぎが不十分になる

といった問題が発生しています。

日々の業務に追われ、新たな提案や改善に取り組めない情シスには、従業員にIT教育を行う余裕もありません。その結果、少し調べれば分かる程度の問い合わせが日々寄せられたり、情報流出などの問題を併発するリスクを抱えています。

課題❸セキュリティリスクの高まり 三つ目の課題は 「セキュリティリスクの高まり」 です。

総務省 の発表によると国内企業へのサイバー攻撃は2015年以来増加しており、 企業のセキュリティリスクは年々高まっています 。2023年には大手企業のランサムウェア被害や、不正による情報漏洩事件が報じられました。

情シスには更なるセキュリティ対策や社内啓蒙が求めらている中、人手不足や業務過多のために対策が最低限にとどまっていることに多くの担当者が不安を感じています。

課題❹IT戦略の不足 日々の対応に追われる状態が続くことで、長期的なIT戦略が不足するという課題も発生します。

・企業のDXが遅れる

・適切なIT投資ができず、無駄なコストが発生している

・情シス部門が適切に評価されない

これらの問題は、企業全体の成長や競争力にも影響を及ぼします。

課題解決のための４つのアイデア ここまで、情報システム部門が抱えている課題についてご紹介しました。

ここからは課題解決するめのアイデアを４つご紹介します。

❶業務範囲の見直しと戦略的発信 情報システム部門がコア業務に取り組み、社内での地位向上を実現するために、ま ずは業務の範囲を明確化することが重要 です。

本来部門としてのあるべき姿を明確にし、業務を棚卸し、優先順位を付けることで、部署の活動方針が明確になります。それらを経営陣を含めた社内に発信していくことで、社内の理解と支援を得ます。これらによりコア業務に取り組む環境が整備され、情シス部門の専門性を高めることができます。

さらには業務フローの改善提案やERPの導入など、ITの観点から事業の発展に貢献していくことで、経営層の一層の理解と評価を得やすくなります。

❷業務効率化による属人化の解消 慢性的な業務過多を解決するためには、業務の効率化が不可欠です。

特に問い合わせ対応が大きな負荷となっている場合が多く、対応が急務です。

まずは各種システムのマニュアルやトラブル時の手引き、Q＆Aなど、ドキュメント類を整備しましょう。従業員は情シスの対応を待つことなく問題を自己解決できるようになり、問い合わせ業務が効率化します。情シスへの依存度を減らせれば、会社全体の円滑な業務遂行につながります。

ドキュメント整備には属人化を解消する効果 もあります。情シス部門の知見が会社の資産として管理されることで、「担当者がいないと業務が進まない」「異動時の引継ぎがうまくされない」「人によって対応品質がバラバラ」といったリスクを低減できます。

他にも

・生成AIを活用し社内チャットボットを導入する

・RPAツールを活用し定型業務を自動化する

・クラウドサービスを活用し管理業務を減らす

などを実施することで、業務効率化と属人化解消が期待できます。

❸社内ITリテラシーの向上 情シス業務の効率化を目指すなら、社内のITリテラシー向上に取り組むのも一手です。

従業員がITスキルを持っていれば、日常的なトラブルを自己解決できるように なり、情シス部門はより戦略的な業務に集中できるようになります。先述したマニュアル整備だけでなく、社内勉強会やナレッジシェアリングの場を設けるのも有効です。

併せてセキュリティポリシーの見直しと啓蒙活動を行いましょう。従業員が情報セキュリティへの正しい理解と意識を高めることができれば、情報漏洩などの トラブルを未然に防止できます。

社内のITリテラシーが底上げされれば、今後のシステム導入などの取り組みにおいても従業員の反発が減り、積極的に活用してくれる可能性が高まります。社内のデジタル化がスムーズに進むことで、 全社的な業務効率化 が期待できます。

❹アウトソーシングの活用 アウトソーシングの活用も検討ポイントです。ネットワークの監視やヘルプデスク業務など定型業務を外部委託することで、よりコア業務に集中できます。

アドバイザーによる伴走支援も効果的 です。一時的にでも専門家を活用することで、業務の棚卸やIT戦略の立案など、さまざまな領域で効率的かつ戦略的な改善を実現できます。

伴走支援型サービスを利用する最大のメリットは、 改善の過程で得たノウハウが社内に蓄積 される点です。将来的な自走を目標にしている場合は伴走支援型を選択しましょう。

▼伴走支援型アドバイザリサービスの活用メリット

・短期間での課題解決

外部の専門家は豊富な経験と最新の知識を持ち合わせています。即戦力の活用により、短期間での問題解決や効率化を実現します。

・カスタマイズされた支援

自社のニーズに応じてカスタマイズされた支援が受けられるため、より適切で効果的な改善につながります。

・ノウハウの蓄積

改善の過程で自社内に知識とスキルが蓄積されるため、将来的には自社だけで運用や改善を行うことが可能になります。

まとめ 本日は情シスの業務内容や直面している課題、そしてそれら課題を解決するためにアイデアをご紹介しました。

本日ご紹介した内容がお役に立てれば幸いです。

情シス部門の皆さんが現状に不安やもどかしさを感じている方は、業務の棚卸や改善から取り組み、理想の業務体制を勝ちとっていくことが大切です。

また率先して他部署との連携を図り、現場に必要なシステム開発を行うなど、経営課題解決のために積極的に取り組むことで求められる役割と評価を変化させていきましょう。

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